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映画『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』

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打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』は原作はドラマらしいですが、見たことはありません。

映画館の予告編で何度か見てSFとして見に行きました。が、SFというよりも幻想文学的な感じを受けました。

物語としては、「もしあの時、ああなっていれば」という人生のやり直しをする話です。

以下、少しネタバレで書きます。

 

 

ネットの感想を見ているとループものや、タイムリープものと認識している人が多そうですが、この作品は違うと思います。

一番近い概念は『ドラえもん』の秘密道具の一つ「もしもボックス」だと思います。

タイムリープしてやり直しているわけではなく、「もしあの時ああだったら」というもしもの世界を作り出しているのです。
住んでいる町の名前は「もしも町」だし、もしも玉の中のフィラメントは「if」という文字になっているし。

もっとズバリ言うと主人公の妄想の世界です。

なので、現実の世界とはどこか異なるイビツな世界になっています。

風車は逆に回るし、花火は……。

もしも玉でやり直しをするたびに世界はどんどんイビツさを増していく描写はなかなかです。

そして、主人公の妄想の世界なので、他のキャラも主人公の主観による認識に基づいてます。

最初の世界が現実の世界として、主人公の親友は主人公がヒロインのことを好きなことを知っていて、あれやこれやの手を使って主人公を焚き付けようとしています。

わざと「告白しようかなー」などと言ってアクションを起こさせようとしますが、主人公には親友が本当にヒロインのことを好きだと認識しているため、妄想の世界でもヒロインが好きなキャラになっています。

最初に書いた幻想文学のようだというのの理由がパンフレットに書いてありました。
銀河鉄道の夜』みたいな話にしたかったとのこと。
これで辻褄が合います。
つまり、「居なくなった人と旅する妄想をした少年の話」だったわけです。
そして、ラストについて語りますので更にネタバレします。

 

 

ラスト、新学期で、席に居ないヒロインと主人公(ちなみに自分はヒロインが席に居ないことは確認してましたが、主人公が居ないことは見逃していて、あとで他の人から聞きました^^;)。
主人公の名前を呼んでも返事がない。
これの解釈はパッと思いつくのは現実的にはヒロインのところに行ったで、非現実的に考えると妄想世界に行ってしまったです。
が、自分の解釈は違います
というのは、出席を取るときに先生は何度か主人公の名前を呼んでいるからです。
通常の動作として、生徒の名前を呼ぶ→返事がない→席の方を見る→居ないのを確認してバツを付ける、と考えられます。
しかし、先生は何度か名前を呼んでいます。何故でしょうか?
おそらく、主人公は一度学校へ登校していて先生にその姿を目撃されているのだと思います。
学校に来ているのに、返事がないのはその辺にいるんじゃないかと思ったわけですね。
では何故主人公は学校から居なくなったのか?
想像ですが、学校へ来て、ヒロインの席が空というのを認識して、ヒロインを探しにいったのではないかと。
引っ越し先に行ったというわけではなく、映画冒頭の岬に行ったというのが現実的でしょうか。
ひょっとしたら、歴史を変えたいために、もしも玉を探し行ったのかもしれません。
まあ、これは解釈の一つとして受け止めてもらえれば幸いです。

 

で、トータルな感想ですが、SFとして見るとモヤモヤするけど、幻想文学としてみると面白い。

ということです。

ドラマ版が評価が高いみたいなので見比べてみたいところですね。