『まどかマギカ』とP.K.ディック
この記事には、『魔法少女まどかマギカ』、『劇場版 魔法少女まどかマギカ 叛逆の物語』およびP.K.ディックの諸作品についてネタバレがありますので注意してください。
『まどかマギカ』ですが、『ひだまりスケッチ』の作者がキャラクターデザインで、虚淵玄さんが脚本ということで、始まる前から『血だまりスケッチ』と言われたりしていました。
虚淵玄さん脚本というと『PSYCHO-PASS』もありますね。
『PSYCHO-PASS』はシヴュラシステムというシステムに管理されたディストピアを舞台にしています。シヴュラはディックの『シヴュラの目』からです。
作品中でも登場人物がディックの本を引き合いに出してしゃべっていたりします。つまり、虚淵玄さんはディックに影響されている!
さて、『まどかマギカ』に戻ります。TVシリーズは魔法少女モノのフォーマットかと思わせつつフォーマットを破ったり、SF的なループものだったりしました。
で、TVシリーズが終わったあとに作られた映画『叛逆の物語』ですが、これを見たときに「あぁ、ディック的だ」と思いました。
冒頭、なぜかTVシリーズとは世界観が違う物語で始まります。何の説明もなしにです。ここで見ている人は違和感を覚えます。ディック的ですね。『高い城の男』や『流れよわが涙、と警官は言った』のようにパラレルワールドな感じです。
自分の知っている世界ではないと。主人公ほむらもそこが現実世界でないことに気がつきます。何者かがその世界に閉じ込めて普通(?)の生活を送らせていると思い至り、その世界からの脱出を図ります。『ユービック』のようですね。
『ユービック』は半死者の脳を繋げて仮想世界を作り出していました。『叛逆の物語』の主人公も現実世界では眠らされていて主人公の意識内の世界だったようです。
すべてを悟った主人公が救世主のような存在となっているTVシリーズの主人公まどかに救済されるか!?というところでどんでん返し、まどかによる救済は無くなります。これは『ヴァリス』で救世主ソフィアによる救済がなされるかと思ったらソフィアが死んだっていうのを思い出させます。
(『叛逆の物語』のラスト自体はマンガ版『デビルマン』の飛鳥了っぽい感じがしたんですけどね)
さて、みなさんはどうお感じになりましたでしょう?