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藤崎ほつま『キミのココロについてボクが知っている二、三の事柄』

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『キミコロ』こと『キミのココロについてボクが知っている二、三の事柄』読みました。面白かったです。

わりとボリュームがありますがお値段無料です。

紹介文はあまり読んでなく、予備知識としては男の子同士の心が繋がる、でした。

で、いくつか予想と違っていました。

×双方向の心が繋がる

 →一方通行で、特定一人に対するサトラレみたいな感じです。

×ちょっぴりBLな男の子同士の青春もの(あるいはジュブナイル)

 →殺人事件が起こるミステリーでした。

×心が繋がっている状態を活かして事件を解決

 →肝心な時に役立たず(笑)

 

物語が動くのは本の半分あたりから。

そこでやっとミステリーだと気がつきます。

話としては「信頼できな語り手」というやつですね。

信頼できない語り手 - Wikipedia

ちゃんと序盤でルールが説明してあります。

新本格でいうと『姑獲鳥の夏』で京極堂が関口君の話を聞くだけで解決、でも関口君の話では情報が抜けていて……。というような感じに近いかも。

「信頼できない語り手」を状況だけで作り出しているので、この設定だけでも正解だと思います。

 

ここから若干ネタバレあり

 ホットライン現象が事件解決には直接関係がないとしても、間接的にはヒントになっているし、終盤の登場人物の問題解決に役立っているというところがいいですね。

主人公市原の心が読める新城は、市原視点で情報を入手するわけですけど、市原が誤解して認識していることは誤解したまま伝わる。そのことは逆にも当てはまって、新城が話したことは新城視点の情報なので市原に誤解したまま伝わるという。

新城のお父さんとの確執が別の視点により(少し)解消されるという展開がよかったです。

あと、ラスト、最初の頃はサイコパス気質だった新城が感情を取得(?)したくだりなんかもよかったです。

 

で、実は個人的にはこの作品には大きな欠点が二つあると考えています。

  1. 登場人物の名前が某少女マンガを連想させる
    江藤さんはかじった相手に化けるんじゃないのか? 真壁君は魔界のプリンスじゃないのか?
  2. ラスト近くのセリフが某バレー漫画の名セリフとほぼ同じ
    ネットの世界では色々使いまわしされてます。

作品単体で見ると問題ないのですが、他の作品と絡めると出てくるものなので、自分以外の人は気にもならないかもしれません。

 

キミのココロについてボクが知っている二、三の事柄

キミのココロについてボクが知っている二、三の事柄

 

 

 藤崎ほつまさんの奥さんはマンガ家↓

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