弍杏『神様とゆく!11泊12日小説を救うための読書の旅』考察
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『神様とゆく!11泊12日小説を救うための読書の旅』
隙間社さんから出ている弍杏先生の本を読みました。
小説が面白くないからすべて燃やしてしまおうとする神様に対して、今まで読んだ本10冊をプレゼンして小説を救おうとする女の子の話。
居候マスコット型物語の形式を借りた、作者が面白いと感じた本を紹介する話。と取るのも一つの解釈でしょう。
しかし、自分はこれは「自殺の物語」だと受け取りました。
自殺と言っても肉体的な死ではなく、創作者が面白いものが作れなくなり、創作をやめてしまうということです。
10冊の本のプレゼンは言わば走馬灯のようなものです。
創作者としての死の前に今までのことを思い出し、そして自分の原点に触れることでまた息を吹き返す。
そういう風に思いました。
なので、作中紹介されている本を読者が読んだことがあろうがなかろうが、あまり関係はなく、あれは作者の走馬灯のリアリティを出すためのガジェットなのです。
まぁ、紹介された小説を読んだことがなくて、この作品によって興味を持って読み始めるというのも正しいと思いますし、読んだことがあって、あるあるを楽しむのも正解です。ようは楽しめればいい。
個人的によかったのは、世間的に低く見られがちなライトノベルを肯定しているところ。文字で書かれた物語に貴賎なし。
ということで、「小説を救うための読書の旅」となっていますが、創作者としての自分自身を救済する物語で、特に同じ創作者の人に響くと思いました。